作品紹介
地元の名士でもある医師の夫・トム、愛する娘・ポピーとともに郊外の邸宅で暮らしているベス。ところがある日、トムが同僚の殺人容疑で逮捕されてしまう。無実を信じて事情聴取に応じていたベスだが、トムが抱える意外な秘密を知って驚く。その後、釈放されて家に戻ったトムに気づかれないよう、ベスは夫の親友とともに事件を真相を調べ始める。犯人は本当にトムなのか?次第に明るみに出る嘘と秘密。その先に、ベスが下した選択とは。(2023年PG12指定)
監督 | ローラ・ウェイ |
脚本 | アリス・ハンターによる同名小説 |
出演 | アナベル・スコーリー/アンジェラ・グリフィン/エリザベス・ロバーツ/ハリー・ディロンジャック・ファーシング/ジュリー・グレアム |
登場人物
ベス・フェアチャイルド(アナベル・スコーリー)
貧しい暮らしをしていたが、秘密のクラブでトムと出会い、結婚して娘が一人。トムが多くの女性と浮気していたことを知り動揺するが、トムを信じてアリバイを偽証する。
トム・フェアチャイルド(ジャック・ファーシング)
地元の名士で医師。表の顔と裏の顔を持つ。ベスと結婚してからも大勢の女性と関係を持ち、それをビデオで撮影していた。自分の診療所の従業員ケイティとも関係を持ち、殺人容疑で逮捕される。
アダム(ルーク・トレッダウェイ)
トムの幼馴染みで親友。妻を亡くしている。トムとは親友として接しているが、心のなかでも複雑なものを抱えている様子。トムが警察に捜査されている間、ベスに協力する。
エッジワース(アンジェラ・グリフィン)
トムを捜査する優秀な刑事。上司に捜査を止められるが、諦めずにトムを追い詰めていく。
ジュールス(モーガナ・ロビンソン)
ベスとトムの共通の友人。親切とみせかけて意地悪っぽい。登場は少ないが、案外とキーマンかも。
感想
英国ドラマの本格ダークサスペンスということで、アメリカ映画とはちょっと違った雰囲気のように感じられました。性的な描写も多く、PG12指定になってます。4話構成で1話45分前後なのでイッキ見できます。
夫婦間の性的なことが赤裸々に話し合われる場面もあり、これはお国の違いなのか、日本人にはなかなか口にできないのでは。
トムの診療所の従業員のケイティが殺され、トムが容疑者として逮捕される。それをきっかけに、トムの乱交が明らかに。一体何人の女性と関係を持ったんだっていうくらい。しかもSM趣味っぽくて、首を締めながらするっていうから益々怪しい。
ベスも、次々と明らかになる嘘や秘密に動揺しながらも、トムと別れたりしないのは、愛してるという部分もあるかもしれないけれど、娘もいるし、夫を殺人犯とはさすがに思えないだろうし、何より、トムが言ったように、今の生活をすべて捨てる勇気はなかったのだと思う。
幼い頃は、暴力的な父親から逃れるため、母は車で移動しながらベスを育てていた。その生活は貧しく、ベスは母親に対して反抗していた。そういう過去があるからこそ、もう貧乏には戻りたくない、という気持ちもあったと思う。
段々とトムの本当の姿が明らかに
最初はお金持ちでハンサムで素敵じゃんと思っていたトムも、段々と事実が明らかになると、もう最低です。結婚してからも次々と他の女性と関係を持ち、それをスマホのビデオに撮っていた。セックス依存症なんじゃないだろうか。ベスにそれがバレると「君が母親になったから」とか何とかかんとか言う。もう女性の敵としか言いようがない。それでも「本当に愛してるのは君だけだ」とか。結局は、トムという人は自分が好きな人なのだ。「自分」が一番大切で、他はどうでもいいという感じ。明らかにこいつが犯人じゃないかという筋書きと、そういう嫌な男の役がはまってました。
ベスの心情
名士といえども、所詮は狭い片田舎なので、あっという間に噂が広まり、周りに白い目で見られるベス。でもへこたれないというか、それは厳しい子供時代を生き抜いてきたという強さもあるかもしれない。心の何処かでは疑っているのかも知れないけれど、トムをかばうベス。それは「娘の父親」というのもあるかもしれない。けれど、トムの殺人の証拠が手に入ると、娘と一緒に家を出ようとする。浮気は許せても(許してないかも知れないけれど)、「殺人犯の父親」の近くに娘を置けないというのは当たり前でしょう。
ベスはトムの親友アダムに頼ります。やはりこういうときは女友達より男友達か。
どんでん返し
4話なのでシリーズとしては短い分、展開は早いので飽きずに観れました。二転三転する結末は「そうきたか」と言う感じで面白かったです。犯人が次々に殺人を犯したのは、トムに対するねじれた復讐だったのかもしれません。
すべてを知った時、ベスの選択は・・・。
しかし、どっちにせよ最低男だったわけだし、これはこれでベスの復讐だったのか。
思い起こせば、1話でトムが連行された後、ベスが口紅を塗り直すシーンがあって、「今、それする?」と思ったのですが、それはベスの本質を表す序章だったのかもしれません。
最後にドラマが終わって暗転して音楽が流れたその後に、またトムが登場します。面会に来たのは、ジュールスでした。何か不穏な雰囲気で、シーズン2もあるような終わり方。あるとすれば、そこではベスやトム、アダムの過去などが明らかになっていくのかもしれません。でも、やっぱジュールスはキーマンでしたね。(嫌いなタイプだけど)