作品紹介
Apple TV+のオリジナルドラマ。かつて恋人同士だった2人の捜査官が手を組み、イギリスを狙う国際的なサイバー攻撃に立ち向かう。同時に闇に葬ったはずの2人の過去の秘密も明らかになっていく。(2023年)
監督 | スティーブン・ホプキンス |
プロデューサー | スティーブン・ホプキンス/ヴァンサン・カッセル/エドワード・バーローなど |
出演 | ヴァンサン・カッセル/エヴァ・グリーン/ピーター・ミュラン/パトリック・ケネディ他 |
出演者
ヴァンサン・カッセル
工作員のガブリエルを演じるのはヴァンサン・カッセル。フランスの俳優だけれどアメリカでも活動しています。
「イースタン・プロミス」・「ブラック・スワン」などに出演、フランス版「美女と野獣」では王子の役でした。
「凄いハンサム」というわけでもないけれど、何だかかっこよく見えてしまう。
かつてレジスタントとして一緒に活動していたアリソンとは今もお互い思い合う仲ではあるけれど、複雑な背景があるが、それでも一緒に事件を解明していく。
エヴァ・グリーン
イギリスの内務大臣リチャード・バンクスの私設秘書アリソンを演じるのは「007カジノ・ロワイヤル」「パーフェクト・センス」「愛を複製する女」「ノセボ」のエヴァ・グリーン。
既に恋人と同棲しているところにガブリエルと再会し、心が揺れながらも、ガブリエルと共に事件に巻き込まれていく。
ピーター・ミュラン
国籍はイギリス。舞台をメインに活躍しつつも、映画やドラマにも多く出演。
「トレインスポッティング」「マイ・ネーム・イズ・ジョー」「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」「バニシング」などなど。ドラマでも「オザークへようこそ」「ウエスト・ワールド」など多数。「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」ではドワーフの王を演じています。
今回は一見優しそうなのだけれど、実は一癖二癖あるイギリスの内務大臣リチャード・バンクス役です。
この方、こういう役が案外と多い気がします。
感想
傭兵のガブリエルは、ボスの命令でシリア人ハッカーのサミールとその妻子、いとこをフランスの亡命させようとするが、失敗してしまう。行方を追うガブリエルは、サミールたちがイギリスに向かったことを知り、そこで20年前に別れたアリソンと再会する。そのとき、イギリスの町はハッカーによる悲惨な事故が相次いでいた。
二人の恋愛映画でもある
舞台はイギリスとフランスを股にかけ、ベルギー、ブリュッセルとなかなか大掛かり。
最初はハッカーによるテロ行為はサミールたちなのかと思わせて、実は他に黒幕が。
サミールたちを探すにつれ、その先にある陰謀を暴いていく、というサスペンスの中に、ガブリエルとアリソンの過去も明らかになっていくというロマンス風味も含まれています。
二人の最初の再会から、二人がどんなに愛し合っていたかということが想像できます。
二人のベッドシーンはドラマの中にはないのですが、ドラマのオープニング曲のときに、何だかそうなのかな?という感じになっていて、意味深です。
こういうシリアスなドラマの主人公の男女のロマンスというのはよくある展開ではあるのですが、二人の別れはどちらかというとアリソンの方が悪者になっていて、けれどそこにはガブリエルの秘密もあったのです。
その二人の関係や秘密が徐々に明らかになっていくのもスリリングだし、抱き締め合ったりはするものの、キスまではいかない距離感も、観ている方はじれったく思えて、それがまたよかったりします。
6話構成で第2話のラストに流れるこの曲がよかったです。
Melanie De Biasio – Your Freedom is the End Of Me
歌っているのはベルギーのジャズ歌手メラニー・デ・ビアシオ。2004年のツアー中に深刻な肺感染症になり、1年間歌えなくなり、その間に、囁くような個性的な歌い方を身につけたという。
「 Your Freedom is the End Of Me」というのは、直訳だと「あなたの自由は私の終わり」という意味で、英語が苦手な私なりに深堀りすると、「あなたを手放したいけれど、それは私が辛すぎる」みたいな意味なのかなと。
別れたほうがいいとわかっていても、その結びつきを断ち切れない二人の関係を表したような曲で、切ない曲調も好きな雰囲気です。
フランスとイギリスを巻き込む陰謀
二人のロマンスを間に挟みながら、ハッカーによるテロと見せかけ、そこにはフランスとイギリスの国を巻き込む大きな陰謀が隠されているという本格的なサスペンスになっています。
よくある話っぽくはあるのですが、ヴァンサン・カッセル、エヴァ・グリーンの演技や、脇を固める名優たち、話の展開もスピード感があり、6話はイッキ見できます。
当然ながら敵にも味方にもスパイがいて、誰を信じていいのかわからない中で、ガブリエルとアリソンは、ハミールたちを守りながら真相を暴いていくのですが、最先端技術を駆使した監視の恐ろしさ。敵側は姿も見えないのに、行動も会話も筒抜けだし、ガブリエルも敵側の愛人の家のパソコンをシステムに繋いで映像と会話を監視するという、お互いの攻防もスリリングです。
所々にちょっと詰めが甘い感じもあり、最後は本当の悪人は誰なのか、予想できる展開ではありましたが、全体的には見ごたえのあるサスペンスドラマになっていたんじゃないかと思います。
シーズン2があるのかはわかりませんが、これからガブリエルとアリソンはどうなっていくのか。
二人が一緒になっても幸せになれるとは思えないし、かといって、その関係を断ち切れるはずもなく。
タイトルの「リエゾン」はフランス語で「結びつき」や「連絡」を意味する言葉。
「二つの組織やグループ間の連絡や協力を担当する人物や役割を指すことが多い」ということです。
まさに、ガブリエルとアリソンの関係や立場を表すタイトルになっています。