映画『マイドッグ スキップ』感想/愛犬との絆に心温まる

■洋画

作品紹介

1942年、ミシシッピーの片田舎。8歳の少年ウィリーは内気な性格から孤独な毎日を過ごしていた。そんなウィリーを心配した母親は誕生日に子犬をプレゼントする。以来、スキップと呼ばれた子犬はウィリーの大親友となる。

監督ジェイ・ラッセル
原作ウィリー・モリス
制作ゲイル・ギルクリースト
出演ケビン・ベーコン/ダイアン・レイン/フランキー・ムニッズ/ルーク・ウィルソン

日本語訳なし

感想

映画のストーリーは全米ベストセラーになったウィリス・モリスの自伝的小説。
ウィリーは内気な性格で友だちもなく、唯一慕うのは町で人気者のディンク。
スポーツ万能で何でもできる兄のような存在に、強く憧れを抱いていた。

そんなウィリーを心配して、9歳の誕生日に母が子犬をプレゼント。
最初は反対していた父も、しぶしぶ承諾する。
そして、ここからウィリーと犬のスキップの友情がスタートする。

スキップの存在に支えられ成長していくウィリー

舞台は1940年代のアメリカ・ミシシッピの小さな田舎町。
まだ黒人への差別も色濃く、白人と黒人はあまり混合わず、別々の地域に住んでいる。
一家庭に2、3人の子どもがいるのが普通の時代にウィリーは一人っ子。
学校ではガキ大将たちにいじめられ、友だちもいない。
そんなときにプレゼントされた子犬は特別で、かけがえのない親友になっていく。

ガキ大将たちとフットボールしていじめられたときも、スキップがボールをくわえ、ウィリーと一緒にゴールしたことをきっかけに、いじめっ子たちとも友だちになっていったし、好きな女の子に近づけたのもスキップのおかげ。
内気だったウィリーも、段々と明るく活発になっていく。

子どもと犬の物語はよくあるし、同じような展開ではあるのだけれど、やはり、こういう物語に外れはない。子ども時代なりの色々悩みはありながらも、ピュアで、信じる心を失わないというか。

父親にはケビン・ベーコン。映画では「厳格な父」とあるけれど、あまりそんな感じには描かれていない気がした。
戦争で足を失い、きっと心には葛藤がありながらもそれを表に出さず、家族を優しく見守っている、という感じにワタシには見えた。
母親役にはダイアン・レイン。この人はいつ観ても美しい。
夫とは反対に明るくて、茶目っ気もあり、ウィリーに愛情を注いでいる。
それでも「戦争」がそこかしこに暗い影を落としていて、そういう時代背景もうまく取り入られている。

少年からの卒業

ウィリーの周りの人間関係はうまくいっていたけれど、唯一、影を落としていたのは、憧れのディンクが出征した戦場から逃げ帰ってきたという噂を聞いたこと。スポーツ万能で町の人気者だったディンクは、周りから「卑怯者」と陰口を叩かれる存在になってしまい、複雑な心境のウィリー。そんな中、ディンクの背番号を受け継いだユニフォームを着て、シーズン最初の試合に出られることに。ディンクを観戦に誘う。

その試合で、チームの子たちがディンクの悪口を言う。イラついてバッターボックスでは三振、守備ではボールが取れず、余計に落ち込むウィリー。そんなときに、ウィリーを慰めようとスキップが球場の中に来てしまう。怒って、スキップを殴ってしまうウィリー。
そして、そのままスキップがいなくなってしまい、必死に探すが、やっと見つかったときには、密造酒をつくる男にスキップが傷つけられてしまう。

子どもながらにも、「戦争」や「死」など、現実も知り、大人への階段を一歩登ったウィリー。
犬は言葉を発しないけれど、そこには通じ合う気持ちがあって、愛情を注げば注ぐほど、お互い支え合う存在になり、絆も深くなる。

「映画マイドッグ スキップ」は、少年がスキップとともに大人へと成長していくハートウォーミングドラマ。
自伝的なお話なので、時々入る大人になったウィリーの回想のようなナレーションもよかった。
それがまたジーンときちゃうのです。

スキップの演技に脱帽

この映画の中の犬種は「ジャック・ラッセル・テリア」。
大きすぎず小さすぎず、ちょうどよいサイズ感で、元々は狩猟能力が高く猟犬として使われていた。
賢いので、今でもよく牧羊犬として使われてたりする。

映画の中でも、夜中に家を抜け出すウィリーと一緒に抜き足差し足で歩く姿や、相手の心を読んでいるかのような表情など、その演技力に驚いてしまう。
子犬のときや、成犬と老犬でそれぞれ違う犬が演技にあたっている。
けれど、ワタシたちは、ずっと一匹の犬として観ていて違和感もない。それが凄い。
最後に歳を取って目を閉じる姿などは、心にぐっと来る。

ジャック・ラッセル・テリアは、よく映画にも使われています。
「マスク」「クリムゾン・タイド」「リリーのすべて」など。
犬が主役のときは注目ですが、さりげなく出てくるときも、犬の方をよくみてみるのも面白いかも。

こんな犬ならワタシも飼いたいと思ったりしたけれど、あいにくワタシはネコ派。
「散歩」が苦手なのだから、そんなんでは、飼われた犬が可哀想ということになりかねない。

けれど、犬と人間の関係は切っても切り離せないと思う。
映画の中でも描かれていたけれど、戦争にでさえ、犬が活躍している。
ペットとしてだけではなく、人間と一緒に働いている犬も多いし、人間の代わりに犠牲になってくれている場合もある。

そして、人間の一年は犬では7年に相当するという。犬の寿命は平均して10年から13年。
人間の寿命が平均80歳としたら、やはりその一生は短い。

犬だけでなく、動物は人間の近くに案外と多くいたりする。
縁があったなら、やはり人間のパートナーとして、大切にしていかなければならないと思います。