
目次
作品紹介
2人の若者が命を落とす悲劇を生き延びたキーランが、長い年月を経て故郷の町、エブリン・ベイに帰ってきた。 そして彼が戻っていくらもたたないうちに、ビーチで遺体が発見される。 警察の捜査が続くなか、明らかになっていく真実とは。(Netfilix全6話 2025年)
監督 | シェリー・ノーラン/ベン・C・ルーカス |
脚本 | トニー・エアーズ |
製作 | トニー・エアーズ |
出演 | チャーリー・ヴィッカース/ミア・チャン/ロビン・マルコム/ダミアン・ガーヴェイ/トム・グリーン |
登場人物
キーラン・エリオット(チャーリー・ビッカース)
15年前、嵐の夜に危険だと言われていた洞窟に行き、助けに来た友人のトビーと兄のフィンが高波にのまれ溺死してしまう。母に責められ罪悪感に苛まれ、キーランは故郷を離れるが、父が認知症になり母を支えるためにイヴリン・ベイに帰ってくる。
心に傷を追うキーランを演じるのはチャーリー・ヴィッカース。「ロード・オブ・ザ・リング力の指輪」で「サウロン」を演じ、話題を呼びました。自身も3話を撮影するまで自分がサウロンだとは知らなかったというのは有名な話です。
今回の役に没頭するため、ニュージーランドのトンガリロ国立公園で5日間ハイキングを行ったり、水中シーンの演技のためフリーダイビングを始めたりと、かなりのスポーツマンでもあります。
Official poster for the upcoming Netflix series “The Survivors”, starring Charlie Vickers pic.twitter.com/baHwvroiCo
— charlie vickers updates💭 (@charlievupdates) May 9, 2025
ミア・チャン(イェリン・ハ)
キーランのパートナー。キーランの間に娘がいる。キーランとは同郷で大学で再会する。今回、キーランと共に帰郷する。15年前、親友のギャビーが失踪し、海辺でギャビーのバックパックが発見されたため、事故で亡くなったと思っていて、帰郷してから改めてギャビーの失踪について調べ始める。
韓国人の両親のもと、シドニーで生まれたイェリン。2018年にシドニーの国立演劇大学(NIDA)でミュージカルシアターを専攻し、演技の美術学士号を取得。「ブリジャートン家の人々シーズン4」「デューン/予言」に出演。
ヴェリティ・エリオット(ロビン・マルコム)
キーランの母。兄フィンが死んだのはキーランのせいと、キーランを責める。認知症になった夫を献身的に支える。
主役から端役まで多種多様な人物を演じるロビン・マルコム。肝っ玉母さんや今回のような毒親っぽい役も多いです。
1999年、マルコムはティム・バルム、ケイティ・ウルフ、サイモン・ベネットと共にニュージーランド・アクターズ・カンパニーの創設メンバーの一人となり、ニュージーランド全土で数々の舞台作品を制作・上演し、成功を収めています。
ドラマでは「クレア」「トップ・オブ・ザ・レイク」など。映画「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」では端役を演じています。
ブライアン・エリオット(ダミアン・ガーヴェイ)
ヴェリティの夫、キーランの父親。元気なときは学校の教師でダイビングなども行っていた。学校の生徒に海で溺れた時の人工呼吸の仕方なども教えていた。現在は認知症で記憶障害があり、事件に対して重要な手がかりを持っているが本人は気づいていない。
認知症という難しい役を演じたのはダミアン・ガーヴェイ。2010年にチャンネル9の『アンダーベリー:ザ・ゴールデン・マイル』に出演し、 AACTA賞のテレビドラマ部門最優秀ゲスト・助演男優賞を受賞。ドラマでは「ジャック・アイリッシュ」「ハロウ」などに出演。
オリビア・バーチ(ジェシカ・デ・ゴウ)
学生の頃、密かにキーランと付き合っていたが、嵐の夜の事件の後別れ、別々の道へ。妹のギャビーの失踪から前に進めない母親に心を痛める。
他に「ARROW/アロー」「ザ・ユニオン」などに出演
トリッシュ(キャサリン・マックレメント)
オリビアとギャビーの母。ギャビーが生きていると信じている。トビーとフィンと同じ夜に行方不明になったギャビーは捜査もされず放ったらかしになっていることに怒りを抱えていて、ギャビーと親友だったミアと情報を共有していく。
その他の登場人物
- ブロンテ(シャノン・ベリー)
15年前の嵐の夜、行方不明になったギャビーのことを調べるが、そのせいで殺されてしまう。 - ショーン・ギルロイ(トム・グリーン)
トビーの弟。キーランたちとは幼馴染みだが、その中で馬鹿にされていると感じていた。 - ジュリアン・ギルロイ(マーティン・サックス)
トビーとショーンの父親。トビーが死んだのはキーランのせいだと思って恨んでいる。 - アッシュ・カーター(ジョージ・メイソン)
キーランの親友。現在はオリビアと付き合っている。 - ドン・ハニー(ジョージ・バーリン)
小説家。アッシュの祖母の家を購入し住んでいる。ブロンテがギャビーのことを相談していた。 - ジェフ・マロット(イアン・ブリフ)
15年前巡査で、ギャビーの失踪の担当だった。今は引退している。 - リアム・ギルロイ(ジュリアン・ウィークス)
トビーの息子。15年前はまだ子どもだったが、父を死なせたキーランを憎んでいる。
感想
舞台は海辺の小さな町「イブリン・ベイ」。
これはこの物語の架空の町で、実際の撮影はオーストラリア・タスマニア州のホバートやイーグルホーク・ネックなどの海辺で行われています。
切り立った断崖や、いわく有りげな洞窟など、暗い過去を背負っている町の雰囲気が合っていました。
「あそこには行ってはいけない」と言われていた洞窟は、キーラン、トビー、フィン、ショーンの秘密の場所で、入り組んだルートを知っているものはこの4人。洞窟の中に到達した者は、自分の名前を岩に彫るというルールがありました。
物語は嵐で流されそうになり、キーランが溺れかけたところに、トビーとフィンがボートで助けに来たのですが高波で転覆し、二人はそのまま溺れて亡くなるところから始まります。
トビーの家族や母親にまで責められ居場所をなくしたキーランは家を出ます。
けれど、その日、同じくギャビーという少女も失踪していたにも関わらず、彼女はろくに捜索もされず、存在さえもしていなかったような扱いで、母親だけが必死に娘を探しています。
そこにブロンテがやってきて15年前のことを調べ始めた頃、キーランとパートナーのミアがイブリン・ベイに帰ってきたことから、物語が動いていきます。そしてブロンテの死。
15年前の出来事とブロンテの死はなにか関係があるのか。また、そもそもどうしてキーランは洞窟にいたのか。
キーランやミアにキツくあたる母ヴェリティの思い。そして認知症の父ブライアンが見たものとは。
「生き存えしものたち」の原題は「The Survivors(サバイバーズ)」。日本語では「生存者」や「生き残り」を意味します。
多くの謎が謎を呼び、怪しい人たちが何人もいて、その先の展開が観たくなる一気見できる作品になっています。
キーランにきつくあたるヴェリティ
同じ兄弟でも一方だけ可愛がる親のドラマや映画をよく観ますが、今回もその手の母親ヴェリティ。二人いたときはそうでもない気がしましたが、兄のフィンがキーランを助けるために死んでしまって、ヴェリティはキーランを責めます。
一番支えて欲しい人が、一番になって自分を責めているというのはかなりつらい状況じゃないかと。
全部がそうではないけれど、時に母親ってそういう感じになっちゃう場合もあるものなのか。
キーランを全く愛してないわけではないのだろうけれど、未だにフィンの死を受け入れられていないからかもしれない。
子どもの死というのは、もう一人の息子に当たるくらい、受け入れがたいものなんだろうと思う。
そんな母親をそれでも求めてしまうキーラン。きっと母親との関係を修復したいと思っているのだけれど、よさそうと思うときつくなる、そんな繰り返しで、本当の母と息子の関係になかなかなれない。
ヴェリティもすごく心が揺れていて辛いのだとは思うけれど、自分の苦しみの方が先で息子を思いやれないのだろうと思う。15年経っても。
ミアの存在
ミアとギャビーは親友同士でいつもふたりでいたけれど、ギャビーは年上の男の子たちに近づいていき、ミアは変わっていくギャビーに追いつけない。
ぱっとしなかったミアも大学でキーランと出会いパートナーになる。運命ってわからないものだなと。
フットボールで女子に人気だったキーラン。ギャビーもキーランのことが好きだったし、実はオリビアも密かにキーランと付き合ってたりしたのだけれど、結局は当時はさえなかったミアがパートナーになり、子どもまで。
当時のことを思い出しながら、ギャビーの失踪の近づいていくミア。
その一方で15年前の事件によって壊れたキーランの母子関係も理解していて、自分もヴェリティにキツく当たられながらも、懸命にキーランを支えようとしている。
キーランにとってはかけがえのない存在になっています。
Official promotional still from “The Survivors”, starring Charlie Vickers and coming to Netflix on June 6 pic.twitter.com/cn5I0vIWPC
— charlie vickers updates💭 (@charlievupdates) May 9, 2025
オリビアとの関係
オリビアはかつて高校時代にキーランと付き合っていて、それをみんなには内緒にしていた。
嵐の夜も、実は洞窟でキーランとオリビアは会っていて、嵐になり水かさが増した洞窟からキーランがオリビアを逃がし、自分は波に流されそうになる。そこへ、オリビアから連絡を受けたフィンとトビーが駆けつけて事故にあってしまう。
キーランはオリビアをかばって何も言わず、自分が責めを負い、それをオリビアとの二人の秘密として誰にも言わなかったことで、二人の絆は強くなっているけれど、それは「愛」とはまた違っている。
キーランの母はフィンのことでキーランを責め、オリビアの母もまた、行方不明になったギャビーのことが頭から離れない。
二人は同じ秘密を抱えると同時に、母親との関係も同じような境遇になっていて、仲間意識みたいなものなのかもしれない。
けれどそんな二人を見て、ミアはキーランとオリビアの関係を疑い、距離を置こうとする。
📸New promotional photo of Charlie in The Survivors pic.twitter.com/KQ3HXiTeJQ
— charlie vickers updates💭 (@charlievupdates) June 1, 2025
ギャビーの失踪の謎
ミアと同級生で親友だったギャビー。ギャービーの様子はミアが昔を思い出す回想という形で明らかになってきます。
ミアは背伸びしてトビーやフィンと羽目を外したりしますが、本当はキーランが目当て。でも、それはキーランは知らないのです。
ギャビーがキーランを探して歩いているところにブライアン(キーランの父)が車で通りかかり、嵐が来るから帰るように促しますが、ギャビーはそのままボートのところまで行きます。
そこで出会った人こそが、ギャビーを図らずも殺してしまうことになる人物。
ブロンテも、ことの真相に迫り、その人物に殺されてしまいます。
そして、なぜギャビーの死が隠されてしまったのかの真相も徐々に明らかに。
生き残ったものたち
トビーとフィンが亡くなったことで、キーランは罪悪感はあったものの、本当の原因はオリビアだったわけで、でもそれを誰にも言うことができず、母に責められ、とても苦しい思いをしていた。
母のヴェリティもフィンの死をなかなか受け入れられていなかった。
一方、ギャビーの行方不明で母のトリッシュもなかなか前に進めずにいて。
挙げ句に、ギャビーはきっとどこかで生きている、という始末。
本当は死んでいるのかもしれないと思っている部分もあるのだろうけれど、真相がわからず、生きているのか死んでいるのか、どうしてこういうことになってしまったのか、わからないまま、先には進めないのだろうと思う。
この物語のテーマの一つは「親の愛」なのかもしれない。
母はキーランを責めたけれど、父はそんな母から距離を置けと、キーランを守ろうとする。
その母もフィンの死をなかなか受け入れられないし、ギャビーの母もまた、執念にも近い感情でギャビーの失踪の原因を突き止めようとする。
そして、犯人の父親もまた、なんとか息子を守ろうとして真相を知りながらも隠すことになる。
でも結局は真実がわからない限り、残されたものの癒やしはない。
どんな真実であれ、それを知ることで前に進めるきっかけになるんだと思う。
何かのドラマで「真実は時に人を傷つけるけれど、また、真実でしか人を救えない」というセリフがあった。
真実を知ることで、生き残った人たちが再生の道を歩いていく、そんな物語なのだろうと思う。
「ロードオブザリング/力の指輪」では、サウロンの狡猾さを見事に演じていたチャーリー・ヴィッカース。
今回はそれとは全く違う繊細な演技でキーランを演じていて、これからが益々楽しみです。
#tropspoilers
— charlie vickers updates💭 (@charlievupdates) October 2, 2024
New Sauron still from episode 8. The Rings of Power season finale comes out tomorrow. pic.twitter.com/C1vhE7mZPP
Netfilixで配信中!(終了している場合があります)
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