作品紹介
ドキュメンタリー監督のゾーイは、久しぶりに再開した幼なじみのカズから見合い結婚をすることを告げられる。なぜこの時代に親が選んだ相手と結婚をするのか、好奇心を抱いた彼女は、カズの結婚までの道のりを次回作にすることに。そんななか、条件に合う相手が見つかったカズはオンライン上でお見合いを決行。数日後、カズから婚約したと報告されたゾーイは、自身のなかに秘めていた彼への想いに気づく。(2022年)
監督 | シュカール・カブール |
脚本 | ジェマイマ・カーン |
プロデューサー | ニッキー・ケンティッシュ・バーンズ/ジェマイマ・カーン/ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー |
出演 | リリー・ジェームズ/シャザド・ラティフ/エマ・トンプソン/ |
出演者
リリー・ジェームズ
恋愛に真剣になれず、クズ男ばかりを選んでしまうゾーイにリリー・ジェームズ。
ドラマ「ダウントン・アビー」で人気になり映画「シンデレラ」で主役を演じた。他「ベイビー・ドライバー」「ガンジー島の読書会の秘密」「アイアン・クロー」などに出演。
自分の気持に正直になれないゾーイを等身大で演じています。
シャザド・ラティフ
イギリスの俳優。パキスタン、イギリス、スコットランドの血を引く、エキゾチックな魅力のシャザド。
ドラマ「スター・トレック・ディスカバリー」で注目され、今回もゾーイのお隣に住むパキスタン人の幼馴染みカズを演じています。リリー・ジェームズとは、プライベートでも10年来の友人だとか。息もピッタリです。
エマ・トンプソン
言わずと知れたベテランの大女優。「ハワーズ・エンド」でアカデミー主演女優賞を受賞。「日の名残り」や「父の祈り」でアカデミー主演女優賞ノミネートされる。
数々の映画に出演し、最近は気の良いお母さん役も多いイメージです。
今回も、おしゃべりな明るいゾーイの母を演じています。
感想
ドキュメンタリー映画の監督ゾーイと腫瘍科医のカズは、家がお隣同士の幼馴染み。
カズの家のツリーハウスは二人のいつものお決まりの場所。カズはそこで親に内緒でタバコを吸っている。
そこで、カズが親の決めた相手とお見合いをして結婚するという。
ゾーイは、何も知らない相手との結婚に疑問を抱くと同時に、カズに対する自分の気持ちに気づいていくが、なかなか言い出せず、気付かないフリをしている。
結婚の考え方の違い
カズはパキスタン人で一族はみんなムスリム。ことあるごとにイベントが有り、そのたびにパーティが催されていて、ゾーイの母は、夫が浮気して家を出たという割には人生を楽しんでいるように思える。
カズが両親同伴で結婚相談所に行き、そこで相手の希望を話すけれど、自分と両親の考えには違いがある。
両親もお見合い結婚で、結婚当日に初めて会ったという。
パキスタンは今も90%がお見合い結婚だそうで、基本的には両親や親戚が相手を探すそうです。
昔の日本に似てなくもない。
戦国時代まで遡れば、結婚は好きな人とするものではなく、政略の手段だったりするわけで、特に女性の選択肢は少ない。今は選択肢も増えて、ともすれば女性主導だったりするし、基本的には愛もあるはず。
カズはイギリスで生まれているけれどパキスタン人で、親が結婚相手を探すということに抵抗がないのだと思う。結婚した後に愛を育めばいいと言う。
一方、運命の相手を探すゾーイは、愛情もない赤の他人と結婚できるのか疑問を持ちます。
相手を見つけ、結婚するというカズの結婚までの道のりを映画にしたいということで、カズの結婚式に同行します。
見ないフリ
パキスタンの結婚式が3日間かけて、色々な儀式があるというのは、この映画で初めて知りました。豪華絢爛でしかも美しい。なんか憧れてしまう部分もあるけれど、あまりよく知らない相手と結婚というのは、やはりちょっと怖さはある。
好きあってても、ずっと一緒に暮らしていくということは結構な覚悟は必要だし、ワクワクもありながらちょっとの不安もある。それがよく知らない人とだったらなおさらな気がする。ワタシは個人的にはゾーイと同じ考えなのかもしれない。
カズも、本当はゾーイのことが好きなんだろうけれど、自分がパキスタン人という人種の違いや宗教の違いがあり、お隣りさんだけど、47番地と49番地は違う大陸だと言う。それは確かにそうかもしれないけれど、何だか切ない。
それが「好きだ」と言えない理由になってしまうのだろうか?
でも結局は、「見ないフリ」は出来ない。
カズのタバコも、親には吸ってないフリ。
カズの妹が宗教の違う人と結婚したことで家を出てるのに、関係ないフリ。
カズの結婚相手に別に好きな人がいるとわかっても知らないフリ。
自分の気持に気づいているのに、見ないフリ。
そんな「フリ」に気づいたゾーイの選択とは・・・
きっと、それは愛じゃない
映画のタイトル「きっと、それは愛じゃない」というのは、解釈が難しいのだけれど、愛って、「惚れたはれた」だけではなくて、友情だったり、考え方の違いだったり、現実的な状況だったり、いろんな要素があいまった中にあるものなのかもしれない。そしてその先に二人で見いだせるものがあるなら、それが「愛」なんじゃないかなと、個人的に思うだけですが。
とはいえ、恋愛や結婚にもいろんな形があっていい。
今はそれが許される時代なのだから。
ゾーイの望みは「一緒にテレビシリーズを見てくれる人」。そんなに無理な夢ではない。
けれど、案外と一緒に同じテレビシリーズを見てくれる人っていないかも(笑)
(ワタシも夫とは好みが違うので別々にみてます・・・)
ゾーイにとって、それができるのはカズしかいないんですよね。
よくある恋愛映画ではありますが、やっぱりハッピーエンドはいい!